文学少女を読んでいると、デビュー作である卓球場シリーズを思い出します
ストーリー構成が似ていると感じることが多々あり、休みを利用してもう1度全4巻を再読しました
赤城山卓球場に歌声は響く
デビュー作でありシリーズ第1作です。埼玉及び東京の大学の国文科に通う主人公の朝香を語り部とし、ユリノ・若菜・紗恵・る子ちゃん・ローラ・柊子さん・太宰そしてもう1人の主人公とも言える神保華代子こと華代ちゃんと言ったロイヤル=ハーモニー=スペシャル=ボイス=オーケストラ(R=H=S=V=O)の面々がこれから挑むことになる事件の幕開けです
シリーズ全体を通して朝香とこの面々の友情ストーリーが繰り広げられます
舞台は大学と茨城の赤城山
国文科が舞台だけあって文学作品の話も多少出てきます
あとがきにてこのシリーズは野村美月の大学生活の話がモデルになっています
つまり、朝香=野村美月という解釈で読めば作中で朝香が語る夢はそのまま野村美月の夢ともいえます
那須高原卓球場純情えれじ〜
栃木を舞台にしたシリーズ第2巻
黒い太文字の手紙から始まり、この巻のキーパーソンであるまゆりと夜の話
後半の怒涛の展開は文学少女に通ずるものがあります
2巻の印象に残った言葉
本を読んでいる時や古文や漢文の解釈をしているとき、物語登場人物や語り手の気持ちに自分の気持ちを重ね合わせて、その人物になりきってしまうことがある。
人は弱いところも狡いところのある生き物だから、自分たちの保身のために力のないものを犠牲にしてしまうことがある。
―この辺りは文学少女(3巻までしか読んでないけど)に通ずるところがあると再認識しました
あだたら卓球場決闘ラブソング
作者の故郷である福島が舞台
この巻から登場の山田と朝香の物語
印象に残った言葉
「“しんじつ”はかなしみをもたらすから」
「とてもとても、いたいから」
「はめつ、することもあるから」
「なるべく、つかわないで」
・・・・・・過去も、現在もすべては未来につながっています。この日の悲しみと切なさを、どうか忘れないで下さい。
過去と真実を知ることによる痛みとそれを克服して登場キャラが一回り大きくなることが丁寧に描かれていたと思います。
神宮の森卓球場でサヨナラ
シリーズ最終巻
大学卒業を迎えたR=H=S=V=Oの面々と華代子との絆を中心としたストーリー
もの悲しい展開でもどかしいですが、読み終えた後はすっきりとした気分になります
4巻の印象に残った言葉
ほんとうに ほんとうに 大好きだから
ためらわずに言うよ
サヨナラ
物語を書く人になること、
それが、わたしの小さい頃からの望みだった。
本は、いい・・・・・・。ページをめくれば、どこへでも行ける。どんな経験でもできるし、何億もの人生を登場人物たちと生きることができる。様々な人間に出会えるし、いろんな気持ちを気持ちを体験できる
だがな、現実の世界で人と出会って、生の体験をして、昔読んだ本をもう一度読み返してみると、はじめに読んだときには気がつかなかった気づいたり、登場人物の気持ちにより深く共感できたり、そんなことだって、いっぱいある。
「友情は気高く、貴い」
あなたは、卓球の神さまを知ってますか?
あなたは赤城山の卓球場を知ってますか?
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改めて読み返してみると文学少女のルーツになったのではないかと思われる共通点っぽいものが沢山見られるような気がします
卓球場シリーズは私が大学時代に読んだ作品ですが、改めて読み返してみると著者である野村美月の情熱がより伝わってきたような気がします
自分の中では色褪せない名作の1つです
今から約8年前に出たシリーズかつデビュー作と言うこともあり、荒削りな面が目立つかもしれませんが、文学少女シリーズを読んだ方で興味のある方は是非読んで頂きたいと思います